厳選された不動産投資
仮にガルブレイスの説が正しいとすれば、不動産投機が起きるのは避け難い現象ということになるでしょうし、今後も投機による地価高騰はあり得るということになります。
またガルブレイスは、あらゆる投機の始まりに、金融や投資機会について一見新奇なことをして成功する個人や機関がいることを皮肉って「暴落の前には金融の天才がいる」とも述べています。
私たちにとっても、今後の色々な投資を考えるうえで参考になることかもしれません。
賃貸オフィスビル市場を分析するためのデータオフィスビル業界では、専門のテナント伸介会社が存在し、ビルオーナー(所有者)やビルへの入居希望者と常時接触して、生の市場情報を収集しています。
入居希望者がどこにどれくらいの広さのオフィススペースを必要としているのか、そのための予算はどれくらいか、いつからそのビルへ移転したいのか、といった諸々の情報が、テナント伸介専門会社に入るわけです。
従って、これら伸介会社が公表しているオフィス賃料、空室率などのデータは、市場動向を知るための貴重な情報源となります。
伸介会社が定期的に発行している各種のオフィスマーケット・レポートには、地域別やビルの規模別に分類して、ビルの賃料、空室率などの平均値が掲載されており、これを読めばオフィス市場の生の動きをつかむことができます。
ビル所有者が組成しているN協会連合会が毎年まとめている「ビル実態調査」にも、賃料、空室率などのデータが掲載されています。
昔から統計をまとめていますので、長期的なトレンドを見たいときには便利です。
ただし、詳細などルの地域別、規模別の分析をするときや、データの速報性を重視するときは、テナント仲介会社の情報の方が役に立つ場合が多いでしょう。
ビルの市況を見るには、まず空室率(ビルの何パーセントが空室かを示す)と賃料(毎月払っている賃料、分析には1坪当たりの単価を使うことが多い)の2つの指標の動きを把握する必要があります。
賃料には、ビルの所有者がテナントを募集するときの募集賃料と、実際にテナントと契約するときの成約賃料の2通りがありますが、一般に公表されているデータは募集賃料がほとんどです。
成約賃料に比べて少し高い水準となっていることが多いので、データを分析するときに留意しておく必要があります 。
また、昨今のようにビル市況が悪いときには、フリーレント(テナントがビルを借りてから一定期間、賃料を無料とするもの)が増えますので、実質的にテナントが負担する賃料は、表面上の成約賃料よりもさらに安くなっている可能性があります。
賃貸オフィスビル市場の長期トレンド戦争直後のオフィスビル業界は、 GHQ (連合軍最高司令部)による主要ビル接収や資材調達をはじめとする様々な規制によって混乱状態が続きました。
しかし、 1950年に勃発した朝鮮戦争によって戦争特需が起き、景気が好転すると、様相は一変します。
企業の業績が回復に向かうにつれてビル需要が急増したため、ビルが不足して多くのビルが新たに建設されることになったのです。
その後、 1955年から57年にかけての神武景気、 59年から61年にかけての岩戸景気といった追い風のなかで、企業の発展とともにオフィスビルに対する需要が盛り上がり、ビル業界は黄金時代を迎えることになります。
建築基準法改正によって65年から容積制度(建物の床面積を敷地となる土地面積の何倍までと規制する制度。
規制されると一定規模以上の大型ビル建設ができなくなる)が導入されることになったため、この規制を逃れようと駆け込み着工が起きたことも、ビル建設を促進させる原因の一つとなりました。
1965年に山一詮券が破綻する証券恐慌がありましたが、その後5年間にわたるいざなぎ景気が続き、オフィスビル市場も順調に拡大しました。
日本最初の超高層ビルである霞ヶ関ビルが竣工したのもこの時期(68年)です。
テナント需要も旺盛で、ビルの空室率は着実に低下し、 69年から74年にかけて1%を切る水準(東京ビルヂング協会加盟ビル)が続きました(次ページ図表2-5)。
テナントの入れ替えに必要な空室期間を考えますと、この1%という空室率はビルがほとんど満杯であったことを示すものといえるでしょう。
1974年に起きた第一次石油ショックは不況をもたらし、ビルの市況を一時的に悪化させましたが、その後の景気回復につれて(2-3年程度の後追いで)空室率は徐々に改善に向かいました。
79年に第二次石油ショックが起きましたが、このときもほぼ同様の回復を示しました。
83年ころからオフィス需要が急速に高まり、バブル期を中心にオフィスビルの空室率は82年から92年までの10年以上にわたって、再び1%を切る水準(東京ビルヂング協会加盟ビル)が続きました。
しかしバブルが崩壊し、オフィス需要は急速に萎みます。
それにもかかわらず、バブル期に着工したオフィスビルが94年前後に完成して大量に市場に供給されたため、ビル市況は悪化し、空室率は5%近くにまで跳ね上がりました。
その後、景気が若干回復したこともあってビル市況も持ち直しましたが、以降、空室率は4%前後と過去と比べても高い水準で推移しています。
ビルが不足していた時代が終わり、これまで以上にビル同士の競争が激しくなっていることが背景となっています。
なお、バブル崩壊後は新築ビルのうち大規模ビル(延べ床面積1万m2以上)の比重が高まっています(東京23区内では新規供給床面積の50%-70%程皮)。
ビルの大型化は、 1フロア当たりの床面積を広くしてテナントの使い勝手をよくしたり、共用施設や低層部の商業施設を充実させたりできるので、ビルに競争力を持たせるための動きの一つであると考えてよいでしょう。
最近では、いわゆる「2003年問題」で、多数の大型ビルが同時期に完成しテナント募集を始めたので、空室率は再び上昇しました。
2003年の秋ごろから空室率は少しずつ改善に向かっていますが、今後とも多数の大規模ビルの竣工が予定されており、バブル期以前のような市場環境となることは難しいでしょう。
今後のオフィスビル市場を読むためのポイント賃貸オフィスビル市場の動向を把握するうえで、ポイントとなるのは以下の4点です。
1点目は、オフィスビル市況は景気動向を色濃く反映するということです。
過去のトレンドを見ると、景気が悪化するときはビル市況も1年程度の後迫いで悪化し、ビル市況の回復には数年かかる傾向があるようです。
ビルのテナントの大部分が企業なので、景気が悪くなるとできるだけ早く賃借スペースを減らして経費削減に努めます。
しかし、景気が回復したからといって、すぐに新たなビルを借りようとはしないことが理由として考えられます。
2点目は、バブル期を経てすでに量的には十分なビルが建っているので、新たなビルが供給されれば、それだけテナントの取り合い、賃料引き下げ合戦などのビル同士の競争が激しくなるということです。
つまり、テナントの旺盛な需要に対して、良質などルの供給が絶対的に不足していた時代とは、事業者にとっての競争環境が変化したということです。
3点目は、ビル同士の競争が激しくなるにつれ、個別ビル間でのテナントの取り合いと同時にエリア間競争も激しくなるということです。
東京でいえば、大手町・丸の内地区を中心に、新宿、渋谷、臨海副都心、汐留、品川、赤坂・六本木、大崎などのエリアに分かれてオフィスが集積しています。
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